桑名市Ｙ邸 (木で創る・有限会社ウッズ一級建築士事務所)

市街地の喧騒から少し離れた200坪の敷地に建つ専用住宅である。若い夫婦とまだ幼い2人の子供の為に、広い敷地を生かした平屋の住まいが計画された。
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役割の異なる三つの庭

面積に余裕のある敷地の特徴と隣地の現況を読み解き、役割の異なる三つの庭を創り出すために、細長く折れ曲がった平面計画が採用された。玄関脇の屋外作業スペース越しに客を招き入れるパブリックな庭を、リビング東側には隣地の野菜畑に連続するプライベートな庭を、そして敷地北側に物干しスペースに使うサービスヤードをそれぞれ配置した。それぞれの庭は、内部空間との連続性を保ちながら、伸びやかに生活の舞台を作り出している。

外壁面と片流れの大屋根に囲われたワンルーム空間

カギ状に折れ曲がった住宅内部は、外壁面と片流れの大屋根に囲われたワンルーム空間となっている。諸室は杉材で作った可動間仕切パネルと造り付け家具で仕切られ、住まい方の変化に対応しながら自在に区画が変更できるように工夫されている。子供の成長や、家族の変化に応じて間仕切りを増減し、ロフトスペースも確保できる。

屋根面を支える垂木材は、建主の故郷である兵庫県丹波地方の桧の森から、容易に調達できる立木の太さと長さを調査し、部材断面寸法とピッチの調整によって実現可能なスパンを導き出すという、「森づくり」を前提とした構造計画・平面計画を行った。

部材加工の品質・スケジュール管理

森林調査の結果、間伐施業で容易に調達できるL=6.5m, 145×60 (150角の半割)を想定し、スパン4.55mの空間を@455の垂木と構造用合板によって実現した。屋根面は、剛床の確保及びクリープの影響を考慮して、目地をずらした構造用合板を2重貼りし、コーナー部分は鉄骨梁を配置している。

森林調査・立木調達・部材生産は、森林施業・製材品の製造管理に精通した木材コーディネーターが行い、無理のない製造工程管理によって建設費のローコスト化を実現した。主要な構造材を製材した残りの端材を、間仕切りに使う集成無垢パネル(杉t=40 W=600 L=2.0m)や造作枠材、断熱壁パネルの枠材などの副製品として最大限活用した。木材コーディネーターによる厳密な品質管理・スケジュール管理によって立木の状態で調達した原木の利用率を上げることができ、結果的に部材調達のローコスト化に成功した。

桑名市Y邸概要
建物用途●個人所有専用住宅　家族構成●夫婦+子供2人　建築地●三重県桑名市　構造・規模●木造在来工法・平屋建　敷地面積●659.65m2（199.54坪）　計画地の指定●都市計画地域内第一種住居地域　法22条地域内　許容建蔽率●60%　許容容積率●200%　前面道路幅員●南側市道幅員6.72m42条1項1号道路　建築面積●171.93m2（52.01坪）　延べ床面積●171.93m2（52.01坪）　内部面積●133.71m2（40.45坪）　屋外作業スペース●38.22m2（11.56坪）　設計期間●2004年9月～2005年10月　原木調達・製材加工●2005年9月～2005年11月　工事期間●2005年11月～2006年2月　設計・監理●(有)ウッズWs Ltd., Co.　担当:安田哲也　構造設計協力●門藤芳樹構造設計事務所　担当:門藤芳樹　木材コーディネート●(有)ウッズWs Ltd., Co.　担当:能口秀一　施工管理●(有)リバティ（担当:辻康宏）　原木調達●加美町丹治区（担当：廣畑善策）・山口祐助（加美町清水）・藤村重芳（多可町加美区奥荒田）　

木で創る・有限会社ウッズ一級建築士事務所

兵庫県丹波市拠点に、兵庫県下・北近畿・京阪神地域で建築をデザイン設計監理いたします。

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